
輸入毛糸とは?
毛糸店や手芸店に行くと、ありとあらゆる毛糸がならんでいますね。
みなさんは、これらの毛糸がどこの国で作られたものかを意識したことがありますか?
大きく分けると、日本国内で生産、あるいは日本で企画されて中国などで製造された毛糸(ここでは「国産毛糸」と呼びます)と、ヨーロッパやアメリカ、南米など、日本以外の国で企画・製造されて日本に輸入されてきた毛糸(ここでは「輸入毛糸」と呼びます)があります。
「国産毛糸」は、日本国内に籍を置く毛糸メーカーが生産しています。
日本国内の毛糸店・手芸店に広く流通しており、日本の編物愛好家には最も入手しやすくポピュラーな毛糸です。
一方、「輸入毛糸」は、外国で生産された毛糸をわざわざ日本に輸入し、限られた毛糸店でのみ扱われることの多い、どちらかというと玄人向けの毛糸です。
よほど特別な事情がない限り、編物を始めるときにまず手にするのは国産毛糸であることが多いでしょう。
それが、編物の経験を積んでいくと、だんだんいろいろな毛糸、珍しい毛糸を編んでみたくなり、そんなときに手にするのが輸入毛糸だったりします。
すなわち、輸入毛糸は「ちょっと特別な存在」「憧れの毛糸」という位置づけである人が多いのではないのでしょうか。
輸入毛糸の特徴(国産毛糸との比較)
では、輸入毛糸と国産毛糸はどのような違いがあるのでしょうか。
輸入毛糸をよく編む人が口をそろえて言うのが、色彩です。
国産毛糸のカラーラインナップは、どちらかというとオーソドックスというか真面目。
一方、輸入毛糸は、例えばイタリア製毛糸だと、色彩が明るく陽気なものが多く、フランス製毛糸ではニュアンスのある中間色が特徴、イギリス製毛糸やアメリカ製毛糸では素朴でナチュラルな感じの色彩が特徴、など、国民性や風土が反映した色彩の特徴や傾向があるようです。
ですから、ヘビーなユーザーとなると、どのような気分で作品を作りたいかによって、使用する毛糸の国籍を細かくチョイスするようなこともあるとのことです。
画像では色の再現に限界があるので、ぜひ店頭で実物を見てみてください。
また、素材にも特徴があるものがあります。
例えば、その土地土地に特有な羊がある場合は、その羊毛を用いた毛糸があります。
ブリティッシュウール(英国)、シェットランドウール(スコットランド)、タスマニアンウール(オーストラリア)、ウルグアイウール(ウルグアイ)、ペルビアンウール(ペルー)など。
また、ファッションの本場イタリアなどでは、日本では価格的に難しい高級素材を用いた、こだわりぬいた高価な毛糸があったりします。高級なモヘヤ(スーパーキッドモヘヤ)、アルパカ(ロイヤルベビーアルパカ)、シルク、カシミヤなどです。
さらに、化繊に特徴的な糸が、トルコなどの国の毛糸で見ることができます。
輸入毛糸を買って編むときの注意
では、輸入毛糸を買って編んでみよう!としたときに、ちょっと注意したいこと、知っておいたほうがいいことがいくつかあります。
まずは、毛糸の値段のことです。
輸入毛糸は、国産毛糸に比べると概して値段が高いです。
それは、輸入にかかる輸送費などのコストや、為替変動によるリスクをあらかじめ込めているなど、理由があります。
また、小規模の店が独自に仕入れている場合も、大量生産・仕入れする毛糸に比べて割高になってきます。ですから、お店に並んでいる毛糸の値段をただ見てしまうと、あまりの高さにびっくりしてしまうこともあるかもしれません。
でも、ちょっと落ち着いて考えてみましょう。
それは何gの値段ですか?
国産毛糸は、近年の傾向を見ると、1玉の重量がだんだん少なくなっているようです。通常は1玉40g、ものによっては35gとか30g、25g、20g玉巻きのものも多くなっています。一方で、輸入毛糸は圧倒的に50gが多く、ものによっては100gカセになっているものも見受けられます。
ですから、同じグラム数で計算しなおしたら、そこまでビックリするような値段ではなかった、ということもしばしばあります。
それでも、やはり高いです。しかしそれは、特別なものを手にする、とっておきのものを編む、といったモチベーションにもつながっていくのではないでしょうか。
つぎに、輸入毛糸のラベルに書いてある情報です。
輸入毛糸のなかには、国内メーカーが外国産の毛糸を糸の状態で輸入して、日本語で書いたラベルをあとで付けるパターンがありますが、それ以外は基本的に現地の言語・スタイルで書いてあるラベルが付いてあります。
その中で、最も間違えやすいのが、使用針の太さの表記です。国産毛糸の場合は、「棒針4~5号」など、日本式の号数が書いてあります。
一方、ヨーロッパ産の輸入毛糸で棒針のマークのそばに「5」と書かれていた場合は、日本の5号ではなく、太さ5mmの編み針を意味します(この場合は、日本式では10号(5.1mm)が近いです)。これを知らずに編んでしまうと、全く不適切なゲージで編んでしまうことになりかねません。
また、アメリカなどはヨーロッパとは編み針の規格が異なります。よって、その国の編み針の規格がどのようになっているかを確認する必要があります。