
圧巻の216色!シェットランド羊の毛糸専門店「シェーラ」
1991年から通販ではじまった「SHAELA(シェーラ)」。当時はネット環境も整っておらず、FAXや電話で対応をしていたそう。「この年で実店舗を構えるなんて思っていなかった」と、お店の代表であり、フェアアイルの本も出版しているニット作家の佐藤ちひろさんは語ります。
事務所を構えなければならなくなった時に運命的にこの「つつじが丘駅」から徒歩1分ほどの空き店舗を娘さんたちが見つけたそう。
つつじが丘駅でも静かな南口、駅が近くて緑も多い、そして何より窓が大きく開放感。「ここで編み物教室は抜群にいいんです!」と佐藤さん。
扱っているのは、イギリス本土の北にあるシェットランド諸島、そのシェットランド羊の毛だけを使った毛糸を作っているのがジェイミソンズ社の毛糸。シェーラはそのジェイミソンズ社の中細糸を扱うという超特化したニットショップ。
「もともとは自分のためだけに仕入れはじめたのが、その頃教えていた生徒さんたちに『私たちも欲しい』と言われて口コミで広がって。もともとは30年前一人でシェットランド島に行った時、全色を手元に置きたいという思いからスタートしたんです」と笑う佐藤さん。
難しそうなフェアアイル、実は「表編み」で「輪針」使用
フェアアイルニットに興味を持ちながらも、ものすごく複雑で手が出せないと身構えている筆者に、
「フェアアイルは表編み(メリヤス編み)だけだから、編み物したことがある方ならできますよ。なんせ裏編みなしですから!」
と、佐藤さんから魔法の言葉が飛び出しました。確かに、よく見ると表編みだけで成立しています。──でも、編み棒(棒針)何本も使うんでしょう?(疑い)という私の不安も、「この輪針1本で編むんです」とこれまた佐藤さんの魔法の一言。
思わず「え、本当にこれだけ?」と何度も確認してしまうほど驚く筆者。表編みに輪針だけと聞いただけでグッとハードルが下がった気がしました。
フェアアイルの編み図、基本は「点」で
「作品を作る時、編み図は描かれますか?」と伺うと、編み図を見せてくださいました。
思わず「モノクロなんですね!」と驚く筆者に(驚いてばっかり)、佐藤さんが、
「みなさん、それだとわかりにくいからと色分けされるんですけれど、私の先生は黒点と白マスのほうが後に応用するのにいいからと教えてくれました。色を入れると固定観念になってしまうからモノクロでやりなさいと言われて、それを頑なに守っています」とキッパリ。
佐藤さんは、シェットランド諸島で学んだ基本を忠実に守り、今に「伝統」をつたえて後世に残そうとされているんだなという想いを感じました。
佐藤さんが今着ているセーターのパターンはシェットランド諸島にある博物館展示されていたかなり古いもの(上画像)。それを撮影して写真だけを頼りに再現した第一作品目だそう。
店長の飯田さんが着ているフェアアイルニットも佐藤さんデザイン。そのカーディガンの作り方を軽い気持ちで伺ったら、またしても衝撃の事実が。
「ジョキジョキはさみで切る」スティークという手法をつかう。フェアアイルって斬新!
「フェアアイルって、はさみを入れるんですよ。はさみ入れて切るんです」(佐藤さん)
編み物をハサミで切る──そんなことしちゃいけない……という固定概念に縛られている筆者はしばらく頭が混乱してしまいました。え、切る?何を言ってるんですか?え?
「そうです、切るんです。この部分をハサミで」
この手法はスティークと呼ぶそう。
「……でも、切ったら糸がほつれますよね…??」と困惑のまま伺う筆者に、
「ほつれないんですよ、毛糸が複雑に絡まりあっているので」
と、佐藤さん。もう違う国の編み物世界に迷い込んだみたいな気分(ある意味正しい)で驚いている筆者に、飯田さんがご自分のカーディガンを脱いで、切った箇所とその縁を編んだ部分を見せてくれました。
ただただ、その固定概念から逸脱したつくり方に衝撃を受けながらも、シェットランド諸島では毛糸が絡みやすいウールを使っていたのでごくごく自然にこの作り方が伝統として広がったんだなぁと、伝統技法に感動しました。
編んだものをはさみでジョキジョキ……ああ、やってみたい! きっとニッター誰もが「一度やってみたい!」と思うはず。
シェーラはワークショップが中心のニットショップ
シェーラの醍醐味はフェアアイルニットや、ジェイミソンズ社の毛糸を使ったワークショップが豊富なこと。
2018年12月までは、佐藤さんが娘さんの幼い頃に考案した「Hippo(ヒッポ)」(以前出逢った男の子をイメージしてデザインし、店長の飯田さんが編み図を作成)のワークショップもありました。(※受付終了済)
このぬいぐるみの中には、上で紹介した「ジョキジョキ切った後のフェアアイルの端切れ」が詰まっているという、フェアアイル夢のぬいぐるみです。
基礎からフェアアイルを学べるワークショップもあるので「ショップには一人で入りにくいけどワークショップなら参加できる」という人はぜひ。
フェアアイルのマニアックで伝統的な世界にふれて固定概念から脱したとき、見える編み物の世界が変わるはず! そんな体験ができる素敵なお店でした。
「SHAELA(シェーラ)」ワークショップ詳細
シェーラのワークショップはすべて佐藤ちひろさんが講師です。佐藤さんに直接フェアアイルニットを教えてもらえるチャンス!「通常は2色で編まないのだけれど、生徒さんに頼まれて2色のサンプルも」ワークショップではこういった佐藤さんのサンプルが見られるのも嬉しい! ・フェアアイルビギナーズサロン(編み物経験者向け)
参加費:4,000円税込(材料費別)/3時間・フェアアイルサロン(フェアアイル経験者向け)
参加費:4000円税込(材料費別)/3時間上記コースは2018年は既に満席。2019年もどんどん埋まっていく人気ワークショップなので、お早めに。詳しくはこちらをご確認ください。
佐藤ちひろさんのフェアアイル本をご紹介
【SHAELA(シェーラ)】
住所:東京都調布市西つつじヶ丘4-6-3 シティ富沢2F
営業時間:火~金及び第2・第4土10:00~17:00
定休日:第1・第3土、日月祝
アクセス:京王線つつじヶ丘駅南口から徒歩1分
電話番号:042-455-5185
公式サイト:https://shaela.jimdo.com/
公式Facebook:https://www.facebook.com/Shaela152/
公式Instagram:https://www.instagram.com/shaela152/