
東北支援からはじまった「ニット男子部」が装いを変えた
東日本大震災のボランティアで東北に入り、そのボランティアからはじまったというニット男子部。
「ニット男子部ができたきっかけは、東北でのボランティアで『男性に編み物の世界に入ってきてもらいたい』という思いからだったんです」とスマイルニット倶楽部ニット男子部部長の佐藤純一さん。
ニット男子部の集まりを始めた当初は女性も参加OKにしていたが、女性参加者がどんどん増えて肝心の男性側が遠慮して来なくなる傾向にあったため、今は特別なイベント以外は男性限定にしているのだそう。設立のきっかけとなった東北ボランティアは昨年ひと段落を迎え、現在は「男性に編み物の楽しさを知ってもらおう」と活動の主観がシフトしたと話す。
部長の佐藤さん自身は、編み物をコツコツ編んでいるという様子もなく、来る部員の方にお茶を配られたりと小間使いのように動き回り(失礼!)、終始ニコニコとその空間を眺めて嬉しそうな様子。
「編み物が得意ではないんですけど(笑)違う視点から編み物を楽しむことにエネルギーを向けている」と笑う佐藤さん。
「最近はじめたばかり」という会社員もいれば、定年退職後に編み物を本格的にはじめた人、編み物の本を出版しているニットデザイナー、そして某吉本芸人(某アイパーさん)と、部員の経験値も年齢も本当にバラバラ。
「今の編み物の世界に違うアプローチがあってもいいんじゃないかなと思っていて。決まった編み方をするのが正解ではないので、変なことを変な集団がやるというのも一つの編み物の楽しみ方では」と佐藤さん。
いろんな編み方をし、いろんな経験値の人がいるからこそ、集まったときにおのおののペースと、独自の団結力で何かを作り上げてしまったりする──。
なんとなく「ニット男子部」の片鱗が見えてくる。奇しくも、先日編み物をする住職がいると取材させていただいたここは「宋雲院」。住職・一舟さんも、女子から見ると「独特な編み物の世界だなぁ」と感心したばかり。
ニット男子部の部員さんはいったいどんな風に編み物を楽しんでいるのだろうか?
まるでプラモデルに夢中のように編み物に夢中
この日は、それぞれが編んでいるものを持ち寄りそれぞれのペースで編み進めている。それはまさに「プラモデルに夢中の男子」のように見えてしまうのが男性ならでは。実際には、この冬に間に合うようにセーターを編む人、新たな世界に挑戦する人、友達にあげるために小物を編むベテラン部員さんと編み物に夢中なのに。
そのなかでも異彩(失礼!)を放っていたのは、目玉のオヤジと、その横に鎮座するかわいいくまちゃん!
筆者息子がゲゲゲの鬼太郎の大ファンと伝えると、「持っていっていいよ」とお菓子でも分けてくれるようにこちらの目玉のおやじさんを譲ってくださる。これらは編み図なしで編み、そして編み図を描き残すこともしないとか!
「編みぐるみは70~80体編んだかなぁ」
あげちゃうからあまり手元に残ってないと笑う部員さん。そもそもお嬢さんが書店で編みぐるみの本を見つけ「これ作って」と言われたのが編みぐるみを作り始めるきっかけとか。
これから挑戦したい編み物は「ニャンドゥティ」。隣に座っているベテラン部員さんからの情報で知ったという「パラグアイのレース編み物」だそう。編み物の世界の広がり方も、なんか独特ですニット男子部。
「経験値関係なくフラット」な関係がなんか新鮮…
そして、こちらの部員さんが編んでいるものは、大物も大物。「こたつカバー。実は小さい四角のパーツを編んで、それをつなげようと途中まで編んでたんだけど、つなげるのが大変と気づいて」
こちらの大きな編み地はアフガン編み。モチーフつなぎに見えるよう糸の色を替えて編んでいる。毛糸を変えるだけで模様がでるからこちらのほうが簡単……だろうか、相当編まないとこたつカバーは難しいような。女性視点から見ると、ニット男子は普通女子なら避けますよという「労力を要する編み物を喜々として楽しむ」傾向がある。
もともと手先を使った手芸が好きで、クロスステッチをされていたという部員さん。定年退職後、編み物が趣味の奥様と一緒に編み物にうちこみはじめたそう。(このクロスステッチがまたプロレベル!)
隣に座る「最近編み物をはじめたばかりで、ニット男子部に入ったばかり」という若手部員さんと、終始楽しそうに談笑しながら編んでいる。
そう、年齢もだけれど「経験値」の差があっても本当にフラットな関係なのがニット男子部の面白いところ。
ベストの次はセーターに取り組むという編み物初心者さんと、本も出版されているプロのニットデザイナーさんもフラットに膝をつきあわせるのだから。
男性は肩書や立場が優先される世界にいることが多いからか、女性視点でみると、ニット男子部は「立場関係なくフラット」であることがとても印象的なのだ。
ちょっと違った視点で面白いことをするのがニット男子部の醍醐味
部長の佐藤さんが言う通り「違う視点で楽しむ」ニット男子部は、都電貸し切りで編み物をしたり、さまざまな視点でニットの面白さを追求していく。
ずらっと並ぶのは部員の方々で編み進めた「ニット男子部」の公式サイトを表示するQRコード!それぞれ編み方も違い「きちんと読み取ってくれるか」を研究しながら、いくつも編んだという。
最も「読めるQRコード」はこちら。モノトーンや幾何学模様が流行っている昨今、このままテーブルにおけば超絶おしゃれな鍋敷きに。売れる、売れるに違いない。
なんだか女子とはまた違う夢やロマンを抱えてニットの世界を自由に楽しむニット男子部。それがにじんで見える渾身のQRコードや、部員みなさんの楽しそうに談笑しながら編み物をする姿をみて、
ああ男子って編み物楽しむんだ、そうかそうなんだ!
と当たり前のことを改めて感じたHandful女子なのであった。
▼都電貸し切りでニットを楽しむニット男子部!
スマイルニット倶楽部ニット男子部
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