
実は編み物以外にアクセサリーも作るお坊さんだった⁈
JR上野駅からわずか徒歩5分。台東区役所の目の前に「宋雲院(そううんいん)」があります。定期的に「テラデマルシェ」という手作り市を開催し、お寺の部屋もレンタルしているという「お寺ってそんなにオープンだったっけ⁈」という新感覚のお寺。そしてその住職を務めているのが、一舟(いっしゅう)さんです。
まずは一舟さんに「編み物と禅の関係について」真面目に質問してみました。
─ズバリ、編み物に禅の効果ってあると思いますか?
一舟さん(以後名称略):大げさな話ですし、お寺のお坊さんが編み物をしているというので注目されているんだなと思います。ひとつのことに集中するということであれば、写経もそうですし座禅もそうですし。編み物って基本的に数字じゃないですか?
─数字なんですか⁈
基本的に何目編む、何目編むという感じなものですから。座禅中も基本的には数字を数える……何も考えないというのが難しいから数字を数えるというのがあるんですね。しかしそれに近いかどうかはわからないですよ。取材される側は絡めたいと思いますが……。
─いや、うちはそうでもないです(一同爆笑) ※意外性に飛びつく編集部です
ざっくりですね(一同笑)。基本的に禅的な意味をこめて編み物をはじめたわけではないんですよ。
─そうなんですね。いつからはじめられたんですか?
編み物をはじめたのが今から10年、15年くらい前ですかね。
─ということは、大人になってからはじめられたってことですか?
そうですね。父が住職をしていて、私が副住職だった時は時間がありましたので。平成26年に私が住職を任されてから時間がなくなりまして、本当にできなくなってしまいましたけれど。
─あまり編み物をやっている男性がいないじゃないですか。時間があっても男性ってがっつり「ザ・男の趣味」的なものへ行く傾向があると思うんです。一舟さんがどうして「編み物」に行かれたのかとても興味があります。もともと、ハンドメイド全般がお好きなんですか?
う~ん、なんでですかね……。うちの妻と手作り市などに出店するようになったんですね、神社やお寺などでやっているものに。喜んでもらえるし、買ってもらえるし……最近は「ピアス」をつくって出したりしているんですよ。
─お二人で作られているんですか?
妻はビーズで刺繍したものなどをつくっていますし、私はシンプルなものを。イヤリングだったりピアスだったり。
─見たい! 男性のイヤリングやピアス作品を見る機会はなかなかないので、ぜひ見たいです。
パーツ屋さんで材料を調達してつなげるだけだと、どうしてもありきたりの作品にはなりますけれど。(※上記作品を見る限り、ありきたりではありません!)
─パーツ屋さんにいかれるんですか?
行きますね。浅草橋のパーツ屋さんへ行きますよ。行ったら「お久しぶりですね」と声をかけられてびっくりしましたけれど(一同笑)
編み物をはじめた理由もいたってシンプル
─幼少の頃はなにか作るのがお好きだったんですか?
いえ、まったく。才能がまったくないので、絵を描ける人が今とても羨ましいです。4本足の動物の絵をかくと全部同じと言われるので(一同笑)。
そうそう、実際に編み物をはじめたきっかけというのは、カメラのレンズカバーを妻がつくったんですね。それを見てこれはすごいと思って自分で作り始めたのが本当のきっかけだと思います。
─では、奥様から影響を受けて。
そうですね。編み物のきっかけはそれです。やっぱり編み物の道具は持ち運べますし、その頃はカフェで編んでましたし、電車乗ってこんな格好で編んでいました。
─普段着でですよね?
いえ、これです。この格好です。遠方へ伺う時に1時間とか電車に乗る時がありまして。携帯をいじっている姿というのはやはりあまりよろしくないので、本読んでいるか、その頃ブームだったのが帽子編んでるか。
─10年前でよかった。今なら絶対SNSにあげられますね。(一同笑)
特別時間をつぶすというわけではないですけれど、やっぱり現実から離れるというか、ありきたりの言葉になってしまいますが、自分にはこれが性に合っていた。数字数えては数字増やしていって、数字の格闘というか……。それでいて、オリジナルを作るとなるとすごく頭使うんですよね、ここで何目減らしたら増やしたらいいのか、そういう部分はすごくおもしろかったですね。
─そういった作品を編まれる時、編み図を描かれますか?
描かないです。
─実は今Handfulでオリジナル作品を作る時、編み図を描くか描かないか問題がありまして……。一舟さんは描かれない派……ですか?
図ではないですけれど、スマホの中に数字だけいれます。
─え、数字だけ?入れるんですか?
いれます、いれます。再現する可能性があるので、「失敗したな」という時はやっぱり参考になるので、数字として残していきます。
なので、変な話、編み図を見ても実はよくわからないですね。検索しても雑誌にも編み図が載っているじゃないですか。そういうのはほとんどわからずに、ほとんど自力…オリジナルですね。
─数字と、この編み方と……みたいな?
そうです、そうです。
─そうなんですね(Handful一同感心)
そこらへんが楽しいのでやっているんだと思います。マニュアル通りというのがあまり好きではなくて、もちろんそれを参考にすると間違いないものができるのはわかっているんですけれど。
じゃあ初めて靴下を編んでみようと思った時に、じゃあ編み図持ってきてやるかというとそれはなくて、最初から自分で。最終的にできないと思ったら見ます(笑)
─編み目を落とした時って、そこまでほどいて戻りますか?
戻ります。
─なるほど。女性はもちろん編み目数えることは数えるんですが、もし落としてても「ま、いっか」と力技でなんとかする方も多いんですよ。見た目重視で。もしかしたら、男性の編み物の仕方は数字が多いに関係あるのかも。
そうですね。一目間違えちゃったとなると「増やせばいいじゃない」と言われるんですが、9割完成していたとしても、まったく躊躇なくほどけます。
─ええーーーっ⁈(Handful編集部一同どよめき)
間違えてるじゃないかとなれば、バッバッバッバーーーと。
─面倒くさくないんですか?
面倒といえば面倒ですが、アシンメトリー(非対称)というのが苦手なんです。そういう部分はおっしゃる通り男性の部分じゃないかな、と思います。なので、編んでいるものも「円」がほとんどなんですよ。
お寺でワークショップ主催できる?部屋をレンタルできる?
─こちらの宋雲院はこちらの部屋だけでなく本堂もレンタルできるとか?
近年お寺の経営も難しくなってきました。それぞれのお寺がいろいろ工夫をしていると思いますが、うちの場合は何ができるかというと、立地が良い(JR上野駅から徒歩5分)んですね。取材していただいているこの部屋ももちろんお貸ししております。
─手作り市「テラデマルシェ」もその一環で?
テラデマルシェはそれこそ「お寺に遊びにきて」というものですね。
はじめたときはまだ私は副住職の立場だったのですが、土日に予定を入れて「全館使うから」と父にも何も言わず。で、当日蓋を開けてみると、200~300人の若い方々がぞろぞろ来るわけですよ。うちのお寺で行事やっても檀家さんがそこまで集まることもないので驚きですよね。
昔はお寺というものは寺小屋だったりと町の人が集まる場所だったわけでして、なので本来の姿なのではないのかなと思っています。
宋雲院(そううんいん)
住所:東京都台東区東上野4-1-12
電話番号:03-3844-3711
公式HP:http://www.sounin.com/▶お寺の部屋をレンタルする方法とは
申し込み方法:電話にて / テラデマルシェのHPからも可能
レンタル価格:2時間 3,240円~
部屋は応相談。本堂もOKでプロジェクターなどもあり!飲食持ち込みOK!(ゴミは持ち帰りで)▶テラデマルシェ情報
次回は2018年9月29日(土)、30日(日)開催予定。
公式HP:https://terademarche.jimdo.com/
Facebook:https://www.facebook.com/TeraDeMarche/