
多方面で活躍する4人の作家さんにお集まりいただき、お気に入りの「七つ道具」を見せていただきました。
素晴らしい作品を生み出す、その手の延長である道具。
個性的な作品を作る方々だからこその創意工夫があり、意外なものがたくさんありました。
4回のシリーズに分けてお一人ずつじっくりご紹介します!
見出し
4人の豪華な作家さん達が集まってくれました!
「あなたの七つ道具を見せてください!」
そんな不躾なお願いにも関わらず、快く集まってくださったのはこちらの4人の作家さん。
普段からお互いの展示を見に行ったり一緒に食事に行くなどお付き合いのある皆さん。
この日も仲良くワイワイと会話が弾み、それぞれの道具に興味津々で自然とたくさんの質問が飛び交いました。
ぬいぐるみ造形作家のミヤタケイコさん
初回となる一人目のインタビューは、ぬいぐるみ造形作家のミヤタケイコさんです。
ミヤタさんはメーカーでのぬいぐるみデザイナーを経て、現在は布素材をメインとした立体造形作品を作る作家さん。
東京を中心に海外でも美術館やギャラリーでの展示を多数行い、有名ミュージシャンの衣装デザイン、舞台や映像の美術、玩具メーカーとのコラボレーションなど、多岐に渡りご活躍されている方です。
ミヤタさんの生み出すポップでカラフルなフシギドウブツたちは、一度目にしたら忘れられない強い魅力があります。
まずは作品をご覧になってください。
どこかで目にしたことのある方も多いのでは?
ミヤタさんの作品は身近に置きたいキュートさがありながら、そこにあるだけで一つの世界ができあがる神々しさを感じさせる。
私たちが普段目にするおもちゃとしてのぬいぐるみをアートの世界に飛び越えさせてくれます。
そんなミヤタさんの作品ですが、商品として現在販売中のものもあります。
サンレモン/ミヤタケイコ コラボぬいぐるみページ
ぬいぐるみメーカーでデザイナーとしてお仕事されていた方なので生産用のぬいぐるみの型紙を作れるんですよね。
職人の技術を持ったアーティストというわけで、いよいよその道具が気になってまいりました。
ミヤタさんの七つ道具を拝見。まずは意外なものから。
実は筆者もぬいぐるみデザイナーをしているのですが、この職業に就いている人ってとても少ないんです。
同業の方に出会うことも、ましてや道具を見る機会などなかなかありません。
何使ってるんですか!?思わず前のめりになります。
ご存じない方も多いと思うのでぬいぐるみの制作の流れをざっくり説明します。
まず型紙を作り、布にその型紙を写して裁断、たくさんの複雑な型の布を縫い合わせて立体にしていき、綿を入れて顔パーツなどを付け仕上げて…完成!
工程が多いので、使う道具もたくさんあります。
その中でもイチオシの道具を持って来ていただいたのですが、まずはそうですね、と取り出したのは……
ん?え?菜箸…?ざわめく一同。
これはなにか専用のものなんですか?との質問に、「料理のとは分けて専用にはしてますね」と答えるミヤタさん。
ほんとにあの台所にあるおなじみの菜箸だ…!
ああなるほど!この場にいる人の中で私だけ先に理解できました。
私は同じ作業でマイナスドライバーの大きいのを使います!
…って、ますますわからないかもしれないですが。
縫い終わって袋状になったぬいぐるみに綿を詰める際、布の先まで綿を押し込むときに細長い棒状のものが便利なんですね。
テディベア用のものとして専用の道具が売ってはいるけれど、大きいものを作ることもあるのでもっと長いものの方が良かったり、こまかいパーツは細いものが必要だったりする。
これがミヤタさんのベストな形状というわけです。
作る人が少ないジャンルだと必ずしも専用の道具が販売されているわけではありません。売っていたとしても種類が少なくて、それが作っているものにフィットするとも限らない。
なので、身近なものの中から使いやすい形のものを見つけて工夫する必要が出てくるのですよね。