
佐田さん、なんすかこのカリフォルニアカフェな家は!
マニアックな世界をお持ちじゃないかとHandful編集部が訪れたのは、都内某所のバットボーイズ佐田正樹さんのご自宅。入ってみてびっくりの賃貸とは思えぬ雰囲気。
天井高さにある窓も大きく、佐田さん曰く「この窓をあけておけば風が循環して夏は冷房もいらないほど」だそう。
「上(天窓)を掃除するには脚立では短くて、溶接が得意な杉本くんに作ってもらいました。うちにあるアイアンはすべて(佐田工務店メンバーの)杉本くん作です。こんな長い脚立ないじゃないですか、売ってないんですよ」と佐田さん。
作ってくれる友達がいるという環境がうらやましい! 引っ越してすぐにDIYをはじめたとか。
「まず、犬飼っているので、クッションフロアを。おしっこしたりしてもパッとふき取れるので、それは引っ越す前に。なので床からDIYをはじめましたね」(佐田さん)
窓から入る陽光をうける白い壁が印象的な佐田邸。この壁はDIYで板つけられたんですよね?賃貸なのに大丈夫ですか?
「ディアウォールのような金具を使って、ベニヤを貼ってるんですよ。それからこの板を一枚一枚はりつけたので原状回復できますよ」とその時の様子を画像で教えてくれました。
なるほど!この方法であれば賃貸でも臆することなく、チャレンジできますね。
一番のお気に入りは「はじめて作ったテレビボード」
壁とともに印象的なのは、こなれ感のある木目のテレビ台。これがまたとても味のある板を使用しているのを発見。どんな板を使って作ったのですか?
「作業場で使うような足場の板を使ってます。この板はワックス塗ったくらいですね。これ、実は初めて作った作品なんですよ。5.1chスピーカー内蔵のテレビ台だったので“黒”だったんですがウッドのテレビ台にしたくて……。捨てるのもったいないし、なんかないかなぁっと思った時に“カバー”だったら問題なくできるなと」
いちから作るのではなく、今あるものの上にカバーするというアレンジを取った──、壁もそうだけれど「そのものを傷つけずに他の形に変える」というのが佐田さんの得意分野なのかも。
白い壁に映える壁飾りもこの通り。
「それはちょうどいい形の石があったので、ツノが入るように栓抜きで穴をくりぬいて、植物を差し込んでバッファローみたいにしました。『コウモリラン』という植物なんですけど、ツノみたいでしょ」(佐田さん)
さりげなく、赤いバンダナがこれまた効いて、ただただ「センスいいですね」を繰り返すしかなかったHandful編集部。しかしこの後、さらに佐田ワールドが炸裂!
賃貸なのに作っちゃったベランダにDIY「バーベキューコンロ」⁉
「ベランダもDIYしてるんすよ」と、導かれたどり着いたのは賃貸のベランダにはありえない、バーベキューコンロ。うわ、これDIYで?
「賃貸なんで、後ろはビニールで養生し原状復帰できるようにしてるんですよ。バーベキューしようと思って作ったんですけど、植物に火が付いたらどうしよう、炭が飛んだら面倒だなと思って、一度もやってませんけど(笑)」と佐田さん。
「このレンガは上海レンガっていうんです。高いですよ、1個300円するんですよ。材料費だけで6万かかったんで」
上海レンガとは中国の古民家を解体して出てきたレンガのこと。通常のレンガが1個100円くらいなので、確かに高級。しかし、この朽ちた感じには代えがたい!
「あ、でもこういうところは自分でハンマーでたたいて廃墟感出してますよ。ま、これもセンスっすね(笑)ペンキついてるレンガをあえてここに持ってくるとか、並べる色味とかもちゃんと考えて配置してますから。でも、これ1日で作りました」と笑う佐田さん。
「朝9時くらいから夕方には終わってましたね。後輩3人手伝わせましたけど。俺はこれやるだけで、下で後輩がセメントこねさして、『セメントー!』って言ったら運んできたのを俺が塗って(笑)」
たった1日でこれができちゃうとは。その後、苔が生え廃墟感増幅のバーベキューコンロ。現在は趣味の塊根植物が映えているのが、また絵になる!
※マンション・アパートは賃貸分譲ともにベランダ使用の規定があります。管理会社にお問合せください。
好きな工具は「日本に一つだけ」のあのレアもの
さまざまな発想のもと、DIYを楽しむ佐田さんにぜひDIYに使用する工具を見せてほしい!とお願い。すると、謎の工具が登場。なんですか、これ。
「ヒートガンです。ペンキ塗る時に早く乾かすやつです。僕、ペンキ塗るだけじゃなくエイジング(ペイントを少し剥がす技法)もするんで、早く乾いてほしいんですよね。DIYやってて、この道具持ってる人はあんまりいないかも」
確かに、Handful編集部は初めてみるDIY工具。思わず、乾かすならドライヤーではダメなんですか?と聞いてしまうも佐田さんに「このヒートガン、440℃まで出るんですよ。人体に向けちゃだめって書いてある……」と言われて動揺。もはや武器じゃないですか、さすがガンですよガン。
「時間短縮に本当にいいんですよ。友達の誕生日プレゼントとかほしいものつくってあげるんですけど、時間もったいないからこれでビーっと乾かすんです。その日に持って帰りたいやろーって。最近のお気に入りです」と、口の端っこがほころぶ佐田さんの表情は「男の子」。
一番好きな工具は、それじゃあこのヒートガンですか?と聞くと、「うーん、……一番好きな工具っすか。あ、あれが」と思い付き、別室へわざわざ探しに行く佐田さん。まだ隠し玉があるのか──。
佐田さん「これ日本に1個しかないです」
「アメリカのブラック&デッカーの昔のメジャーなんですけど、日本に輸出してないヴィンテージなんです。これおもしろいんですよ」と佐田さんのスイッチが入る。
▲電動で伸びていくという非常にアメリカナイズな合理的システムメジャー(笑)
これにはHandful編集長・小堺も大喜び。思わず動画を録り、「私にもやらせてください!」と手に取りはじめテンションUP!
初心者用のDIYグッズでおすすめのものってありますか?
この家にはDIY初心者でも手軽に試せる道具がないのか──、すると佐田さんが持ってきてくれたのがこちら。
「女性にもおすすめなのが、ブラック&デッカーの初心者用のセット。バッテリーの付け替えができるんで便利ですよ。モバイルバッテリーなんで。これでUSBつないだら携帯の充電もできるんですよ」
「バッテリーもライトで充電有無がわかるので、ライトがなくなったら充電すればいい。以前はこの機能がついていなくて、いつ充電切れるのかがわからなかった」
ソフビ人形、塊根植物、そしてDIY…すべて「フォルム」
実は佐田さん。超がつく塊根植物マニアだけでなく、超が付く「ソフトビニール人形」マニア。それも、普通のではなく「キモカワ」をこよなく愛するマニア魂。
「好きすぎて、これ作っちゃったんですよ」と見せてくれたのがこちらのソフビ人形。
え……作れるんですか?これ。ど、どうやって⁈
「自分で粘土を成形して型とって。おもしろいって乗ってくれた企業さんと作ったんです限定30個で。速攻完売しましたよ」
恐るべし佐田ワールド。作り出す世界と醸し出すセンス。DIYやインテリアを作り上げることにおいて一番大切なことを聞いてみた。
「う~ん、フォルム(形)じゃないですかね。色は変えられますから」
ソフビ人形に、塊根植物、そしておしゃれなインテリア、確かに共通しているのは「フォルム」。フォルムを大事にするという言葉は、DIY初心者の筆者にズドンと響くも、佐田さんの現在はまっている塊根植物ネタはマニアすぎてついていけず割愛。勉強して出直してきます……。