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【手が不自由でも編み物をあきらめない!】ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》開発者・平田のぶ子さんインタビュー

【手が不自由でも編み物をあきらめない!】ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》開発者・平田のぶ子さんインタビュー
この記事について
世の中には病気や老化、そして事故などで「手が不自由」になった人たちがいます。その人たちは手が使えないことで何かをあきらめなければならないのか──「編み物をあきらめてほしくない!」そう立ち上がった主婦・平田のぶ子さん。なにかに導かれるようにその開発に取り組み、できあがったのが『ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》』。手が不自由でないあなたにこそ、知っておいてもらいたい編み物グッズです。

手が不自由な人も編み物ができる「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」

「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」を開発した、手編み教室あみ~ちぇ・平田のぶ子さん。

結婚後看護師をやめて、ずっと専業主婦だった平田のぶ子さん。編み物の学校に通い、教えるようになると「手が不自由で編み物ができなくなった」人たちがいること、彼らが編み物を楽しめるかぎ針がないことに気がつきます。

そこで一念発起!

開発し商品化したのがこちらの「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」。採血用バンドで手首などにかぎ針を固定できるのが最大の特長です。

こちらがスタンダードの「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」。採血用バンドを使用し手に固定して使用する。使い方は→
採血用バンドを本体の細長い穴に折りたたんでいれ→
本体内の採血用バンドのわっかを通るようにかぎ針を入れると完成。かぎ針は360度好きな方向へ固定できる。
採血用バンドなので柔らかくしっかり固定してくれる!発想がさすが元看護師!

たとえば、リウマチの曲がった手であっても、かぎ針にバンドがしっかり固定。かぎ針自体は、360度回すことができるので、一番楽な形で固定することができます。

開発にいたった経緯と「日本中、世界中に広めたい」という熱い思いを平田さんに伺いました。

ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》を考案したきっかけは「なかったから」

最初の試作品は指にはめるタイプ、4年間で100以上の試作品を作成。

─こちらのユニバーサルかぎ針ってそもそもデザインしたのは平田さんなんですか?

 あみ~ちぇ平田のぶ子さん(以下省略):そうです! 形のデザインは私です。 

─へぇ~!!(超超感心)その作ってくれたメーカーさんをみつけたのは?

 私です。 実はここまで(商品が出来上がるところまで)たどり着くのに4年くらいかかっているんです。

 ─わ、大変! デザインして、これを作ってくださいってメーカーに持ち込むところまで一人ですか?

一人じゃできなかったですね。先に手編み講習をする中で、手の不自由な方との出会いがありました。もともと私は結婚する前は看護師だったこともあり、その中で「手が不自由な人たちが使えるかぎ針があればいいな」と強く思いました。

握りやすいかぎ針というものはたくさん出ているんですけれど、市販のものでは「握ることができなくなった方の使えるかぎ針」というものがなかったんですよ。 

試作品の数々。おゆまるから作ったものから徐々に本格的に。

─なるほど。 

介護用品の展示会に福祉用具を探しに行ってみましたが、なかったというか……あるのはあったのですが、想像していた使いやすさを持つものがなかったんですね。サイズもかなり大きめで。 

─道具というより機械に近い感じなんですね。あまりに「機械っぽい」とますます自分にはできないと思ってしまうかも……。

そうなんです! この現状に私はショックを受けて、自分で作るしかないと思いました。 

声を出すと、次々とアドバイザーが現れ協力者が増えていく

かぎ針も3種類の大きさを付け替えできる。

技術向上のために通っていた「ヴォーグ学園東京校」編み物スクール。平田さんは、ここで先生に相談したところ「特許をとること」をすすめらました。そこで、まずは地元の起業相談を受け、創業スクールに通い、卒業と同時にビジネスプランが完成します。

 

─補助金もとられたとか? 

そうです。アドバイスいただいて、国の創業補助金というものがありまして、ビジネスプランを出してみたら、それが通って採択されたんです。 

─素晴らしい! 

おかげで、お金をかけて試作を作ることができるようになりました。そのビジネスプランを書くために、支援の中小企業診断士、支援団体、銀行の方々などに回ってハンコをもらわないといけないんです。そこでつながりができて、相談しているうちに「平田さん、今度ビジネスマッチングがあるよ」と誘っていただきました。

補助金のおかげでお金をかけて試作品が作れるように。

そこでは、金属加工業、プラスチック加工業の人たちがいらっしゃったんです。「ユニバーサルかぎ針」を作ってくださった会社ともここで出会ったんです。

 ─導かれるみたいな流れですね。すごく奔走しているという感じではなくて、アドバイスをしてくれる人が次々と現れて。 

声を出していると必ず「平田さん、それならこの人を紹介するよ」「それだったら私が手伝える」というふうにいろんな方のサポートをいただいて、専業主婦の私でもものづくりができたんですよね。 

手が不自由になった人の気持ちを考えると「きれいなもの」を作りたかった

─ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》は2種類ありますが、このスタンダードとプレミアムの違いってなんですか?

機能は全く同じです。外見というか素材が違います。 

「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」はプレミアムとスタンダードの2種類。

 

─なるほど。スタンダードはわかるのですが、そもそもプレミアムはどうして作ろうと思われたのですか?

様々な理由で手先が不自由になった方って、高齢だったり病気、事故だったりで編み物……というかいろんなことができなくなってくると人はどんな行動をとるかなと考えると、まずいろんなことを拒否すると思うんです。 

─はい。 

そして、あきらめる時間、受け入れる時間があり、そこから前を向きだす……とそういうステップを進むと思うんですけど、回りがいくらサポートしても、結局本人が進まないといけないことなんですね。

それってすごく大変なことなんですけれど、もしかして、キラキラのキレイなものがあれば、「これなんだろう」って手を伸ばしてくれるかなって。いつかこれ使えるようになりたいって思うかなと。 

─たしかに「なにこれ」とはなるかもしれない。 

そう思ってもらえるかな、と思って一番先にこのプレミアムのほうを作りました。

 ─プレミアムのほうがが先にうまれたんですね。

そうなんです。こちらのプレミアムのものはですね、桐箱に入ってまして、結構こだわりのものです。 

桐箱入りは、箱も上蓋に隙間をつくりスムーズに蓋がとれるように。

蓋もピタッと完全にしまらず隙間があるので、一人であけやすくしてあります。もし使わなくても、飾っておけることも念頭におきました。

「編み物することをあきらめなくてもいい」それをみんなに知ってもらいたい

「痛い場所にバンドを固定」すれば、サポーターの代わりにもなり手の負担を軽減。

開発から4年、2016年に「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」が完成。その年の秋に、朝日新聞埼玉版、産経新聞埼玉版、読売新聞埼玉版、東京新聞埼玉版とりあげられ、そして今年2018年は、毎年参加している「日本ホビーショー」の前日に産経新聞全国版に掲載されました。

 

─反響ありましたか?

ありました。その新聞記事を切り抜いてブースまで持ってきてくださる方とか、「出てましたよね」と声をかけてくださる方などいらっしゃって、改めてメディアの力って大きいなぁ、と。

─実際に使われる方は、新聞やテレビを見てらっしゃいますよね。一方、ネットで広がると使用される周辺の方たちが見てくれますよね。

そう、周辺の方たちがとても大事なんです!

ご本人は動けない方が多いのでそれを支える家族の方、施設の方たち、手編みの先生たちに広がって、その方たちが必要な人たちに出会ったときに

「こういうものがあるから編み物をあきらめなくても大丈夫ですよ」

と伝えていただきたい。みなさんに「まず知っていてもらいたい」と思っています。

▲あみ~ちぇ「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」公式動画

ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》(手編みサロンあみ~ちぇWeb)
https://ciao-amiche.jimdo.com/

あみ~ちぇでは「ユニバーサルかぎ針インストラクター」を募集しています。
「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」を使いたい人にその使い方を指導します。「編み物が苦手」という人は手編みサロンあみ~ちぇで講習を受けられます。医療・福祉関係者大歓迎。現在、6名の方が東京・埼玉・神奈川・茨城で活躍中。もちろん、他の地域からも大歓迎!
ご興味のある人は
平田のぶ子公式Facebook:https://www.facebook.com/nobuko.hirata.581 まで。

編集後記
実は1万字に及ぶ大型座談会だったのですが、どうしても「ユニバーサルかぎ針というものの存在を知ってもらいたい」と、記事をライトに、あなたに届けるために書き直しました。手が不自由になることは私にとっても現実的ではありません。しかし、ある日突然あなたの家族がそうなるかもしれない。そんな時、ぜひ「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」を思い出し「もう一度何かを作る、チャレンジする」心を取り戻してもらえたら……。今後もHandfulでは「ユニバーサルかぎ針《あみ~ちぇ》」を応援し続けます!